2018年8月21日火曜日

オセアニア通貨下落 新興国通貨安が波及

2018/8/15付日本経済新聞 朝刊

外国為替市場でオセアニア通貨の下落が目立っている。米中貿易摩擦の激化やトルコなど新興国通貨の急落で投資家のリスク回避姿勢が強まり、オセアニア通貨を手放す動きが広がった。早期の追加利上げ観測が後退したことも、相場の押し下げ要因となっている。

 
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 14日の東京市場でオーストラリア(豪)ドルは1豪ドル=0.72米ドル台半ばと、2017年1月以来の低水準で取引された。ニュージーランド(NZ)ドルは1NZドル=0.65米ドル台半ばと、16年3月以来の安値圏だ。

 トルコリラをはじめとする新興国通貨の大幅な下落が、先進国の中で相対的に高金利なオセアニア通貨の売りに波及した。米中貿易摩擦の激化も、資源国通貨として世界経済との連動性が強い両国の通貨を手放す動きにつながっている。

 両国では早期の利上げ期待が後退している。

 ニュージーランド中銀は9日公表した金融政策会合の声明文で、19年度の経済成長率見通しを下方修正。その上で政策金利については「足元の水準(1.75%)を20年まで維持する」として、5月に示していた19年後半の利上げ方針を先送りした。

 オーストラリア中銀も10日、四半期ごとの金融政策報告を発表した。消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを下方修正し20年末の予測を前年比で2.25%とした。野村証券は19年1~3月期の追加利上げを予測していたが、同年7~9月期にずらした上で「不確実性が高い」とした。

 ナショナルオーストラリア銀行は今後3カ月間で、豪ドルは0.68米ドル台まで、NZドルは0.61米ドル台まで下落余地があるとみている。

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